2014年10月20日月曜日

第10回芸術学専攻教養講座—②「二つの大仏と聖母子〜山田真山の宗教美術と信仰の軌跡〜」感想

 去る10月17日(金)に、芸術学専攻教養講座の今年度最終回、小林純子先生による「二つの大仏と聖母子〜山田真山の宗教美術と信仰の軌跡〜」を行いました。
多くの方にご来聴いただきまして、誠にありがとうございました。

 さて、講座の主な内容は沖縄の彫刻家であり画家である山田真山について、信仰対象が変わったことにより、彼が制作した2つの大仏と聖母子像から読み取れる制作意図の変化を制作の裏話などを紹介していただきました。また山田真山の思想において、欠かせない「宇宙即我」という考えについても詳しく紹介するものでした。

 以下に、この講座を聞いた芸術学専攻1年生の感想を紹介します。

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感想①
 今回、小林教授の教養講座を受けながら思ったことは、多くありました。まず山田真山とは何者だろう?から始まり堆錦技法とは?と思い思いに拝聴していたところ、そも山田真山は本名を渡嘉敷兼愼といった生粋の沖縄人であり、堆錦とは琉球独自の技法ということがわかりました。
 また、質疑応答においても大変興味深い質問や意見が飛び交ったりと初めから終まで非常に為になる講座であったと思います。

(芸術学専攻1年 赤嶺和佳乃)
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感想②
 今回の小林純子先生の教養講座は、山田真山の手掛けた三つの宗教美術についての講座で、真山の宗教観について考えさせられるものでした。
 初め題材である、二つの大仏と聖母子と聞いたときには、真山は仏教徒なのかキリスト教徒なのかと疑問に思いましたが、平和記念像の話を聞いてそういったものは関係のない、真山のもつ宇宙即我の考えが分かり、興味深かったです。宇宙即我はキリスト教も仏教も信仰し、戦争を経験した真山ならではの思想なのではないかと感じました。
 また、真山の仕事に対する姿勢、人物像や、実際に真山と交流した方の話を聞いて、芸術を学ぶ上で作品を理解することはただ作品を観るだけでなく、作家自身を知ることも重要だと思いました。

(芸術学専攻1年 糸満夏希)
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感想③
 山田真山が造ったいくつかの作品の背景にある、真山の宗教観やその人間性にも触れることができました。特に「宇宙すなわち我」の思想を基に平和祈念像がつくられたというお話がとても印象に残っています。そして、木村小左衛門さんと山田真山のちょっとした面白い話もきけてとても面白かったです。
 実を言うと、私は小林先生のこの講座を聴くまで、山田真山という人物を知りませんでした。小学生の頃、社会見学で見に行った平和祈念像しか知らないまま講義を聴いたので、初めは理解できるか、話についていけるか不安でしたが、小林先生のわかりやすい解説で山田真山という人物についてもっと知りたいと思うきっかけになりました。

(芸術学専攻1年 平良佳蓮)
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 芸術学専攻では、毎年10月に広く一般の皆さまに「芸術学」という魅力ある学問について知っていただくために、教養講座を行っております。
来年度も同じ時期に教養講座を行いますので、ぜひ「芸術学専攻教養講座」へお越しください!
 本専攻の教員の普通の本ではちょっと知ることのできない、美術の裏話や実際の経験を聴き、より多くの方へ魅惑的な芸術学の世界を知っていただきたいと考えております。

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